■班女

■作:三島由紀夫,演出:渡部剛己,音楽:本間貴士,出演:櫻井春菜子,秋葉由麻,劇団:体現帝国
■光明山東福寺・境内,2017.10.17
■雨が止んだので東福寺へ向かいました。 肌寒い。 山門前で使い捨てカイロが配られたので有難く使いました。 観客は50人前後ですか。 
本堂前庭が舞台です。 琴の演奏とともに実子が語り始める。 途中ヘリコプターが通り煩い。 そして花子が赤い衣装で登場。 新聞紙?に皺をつけて半分に折り扇にします。 決定的場面ではこの動作が必ずある。 実子と吉雄は一人二役ですね。 垣根や本堂、背景の木々、虫の鳴き声などを取り込んだ舞台でしたが上手くまとめていました。 野外は集中力が必要ですが上演時間40分で緊張感を保つことができました。 
多くの人は待って待ち続けて死んでいくものです。 待つ女が特別ではないので心情は伝わってきます。 でも待たない女はどこか空虚感を持つ。 待たないことを自分自身に説得させる必要があるからでしょう。 この作品は待つ女に比重が傾き過ぎて待たない女との対称性の面白さが欠けている。 戯曲がそうなっている。 でも舞台は実子の二役で役者の対称性が保たれていました。
そして対象の男が髑髏にみえるところが恐ろしい。 待ちすぎて男がモノに還元されてしまった? モノ化はよくあることです。 終幕二人がウヒャウヒャ笑い飛び跳ねながらの退場は見事にモノ化を振り払っていました。
*土方巽1960しずかな家Ⅲ参加作品
*作品サイト、http://hijikata1960.yokohama/index.html