■ジークフリート

■作:R・ワーグナー,指揮:飯守泰次郎,演出:G・フリードリヒ,演奏:東京交響楽団,出演:S・グールド,A・コンラッド,T・ガゼリ,C・ヒュープナ,C・マイヤ,R・メルベート
■新国立劇場・オペラパレス,2017.6.1-17
■「ラインの黄金」も「ワルキューレ」もどのような舞台だったか2幕迄みても思い出せなかった。 でも3幕の炎を見たとたん記憶が蘇ったの。 1・2幕では根気よく待ち続ける作品なのね。
炎が消えた後はジークフリートとブリュンヒルデの心の動きが手に取るように分かる。 怖れや愛おしさを痛いほど感じる。 去っていくヴォータンの背中が何であるかも。 そして母親との関係もいろいろ考えてしまう。 3幕でこれほど感動したのは初めてよ。 後半の抽象化してきた舞台や日本語字幕も影響しているかもしれない。
この感動の始まりは2幕後半のジークフリートを導く小鳥たちの歌声から始まったようね。 小鳥たちはこの劇場の特性を掴んでいる。 ある条件での発声はこの広い劇場空間を通すと心身を豊かに振動させるらしい。 エルダやブリュンヒルデはこの特性を意識しないで歌っていたとおもう。 建物としての劇場構造はとても影響する。
早く「神々の黄昏」をみたい。 また全てを忘れてしまいそうだから。 でもこれは演出家の意図かもしれない。 前半、歌手の動作は細々しているし日常小道具で溢れている。 たくさん観ている舞台の一つとして直ぐに埋もれてしまうからよ。 でも条件が整えば再び思い出せる。 ワーグナーの心の動機で繋がっているから。
*NNTTオペラ2016シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/opera/siegfried/
*「このブログを検索」キー、ジークフリート・飯守泰次郎