■銀髪

■作・演出:広田淳一,劇団:アマヤドリ
■本多劇場,2017.1.26-1.31
■アマヤドリ15周年記念再公演作品である。 劇団を調べたら「ぬれぎぬ」「フリル」の二本しかブログに登場しない。 それ以前にも何本か観ているが気になる劇団にしては少ない。 
劇場で配られたチラシに人物相関図が載っていた。 相関図のある作品は曲者が多い。 だが複雑で纏まりが無いストーリーを鍛えた舞台で熟していくところはさすが記念公演である。
とは言っても前半は冴えない。 途中の休憩時間が終わっても隣席の客が戻ってこなかったが分かる気がする。 パニックを売り物にするベンチャー企業も東日本大震災の記憶やISニュースを毎日みているから舞台に引き込む力が弱くなっているのだろう。
後半、種吉の過去を振り返るところから彼の思想や周囲の人間関係が明らかになり俄然面白くなってくる。 リーダ種吉の部下から上がってくる企画の捌き方や接し方に巧さがでている。 終幕、会社が傾く場面でも信頼関係の崩壊が簡素に上手く表現されていた。
いろいろ気になったので帰りにプログラムを買う。 「生きられなかった時間、育てられなかった子供、わかりあえなかった人たち・・、この作品には後悔の捻が流れている・・」と演出家は言う。 種吉は言う。 「生まれてくる赤ん坊もまた他者である」。 他者と繋がるとはどういうことかを形にしたい作品かもしれない。 切れ味の良い役者の動きや終幕のダンスを見ながら演出家15年の歳月が堆積している舞台だと感じた。
*劇団、http://amayadori.co.jp/archives/8910