■Woodcutters伐採

■作:トーマス・ベルンハルト,演出:クリスチャン・ルパ
■東京芸術劇場・プレイハウス,2016.10.21-23
■時代は1980年頃のウィーンかしら? アウアースベルガ夫妻主催の芸術家パーティの一日を描いているの。 自殺した彼らの友人ヨアナの弔いパーティでもある。 そこに招待された作家トーマスは芸術家たちの退廃的な光景をみるが最後はその現実世界を受け入れる・・。 友たちを、この都市を国を憎むけれどまた愛す・・。
舞台応接室は観客とガラスで仕切られていて役者は温室に居るようだわ。 でも鉄とガラスのウィーン分離派の影響が微かに感じられる。 ダンサーヨアナの衣装もクリムト風で素敵ね。 映像も舞台と違和感が無い。
芸術家たちは話題の舞台「野鴨」のイプセンとストリンドベリから始める。 でも演出家ルパはポーランド人のためかソビエト風に仕立て上げていく。 全てが政治家や役人に集約していくの。 行き着くところは国立劇場批判ね。 カーテンコールで現ポーランド国立劇場が危機に瀕しているアッピールがあったけど芝居の続きなのか一瞬迷ってしまったわ。 国家と芸術の境界にいる国立劇場をみればその国の芸術状況がわかる。 このアッピールは本物ね。 今でもソビエトの亡霊から逃れられないのかもよ。
オーストリアにポーランドが混ざり込んで独特の退廃感あるパーティ場面になっていたとおもう。 忘れていた中欧と東欧に北欧、それに鱸のメインデシュ。 演劇論も美術論も古臭かったけどヨーロッパ作品のパーティ場面はどれも刺激的ね。
*F/T2016参加作品
*F/Tサイト、http://www.festival-tokyo.jp/16/program/woodcutters/