■元禄港歌、千年の恋の森

■作:秋元松代,演出:蜷川幸雄,出演:市川猿之助,宮沢りえ,高橋一生,鈴木杏,市川猿弥,新橋耐子,段田安則
■NHK・Eテレ,2016.6.4(シアターコクーン2016.01収録)
■蜷川幸雄追悼上映を観る。 歌あり踊りあり演奏もあり賑やかな江戸の庶民群像の面白さが舞台に広がっている。
しかし素性の読めない和吉に舞台があっさりと混乱してしまうこと、糸栄と信助の母子としての確信が半端なこと、歌春が万次郎をどれだけ愛していたのか遡及が必要なことなど関係の納得感が未完成にみえる。 演出家蜷川は急いでしまったのか? いやそうではない。 彼は核心部分を少し外して、広く全体の整合性で勝負をしているようにみえる。 
彼の舞台は21世紀になってからは一度も観ていない。 今回映像で15年ぶりに観たが昔と変わっていない。 しかもこの作品は36年ぶりの再演らしい。 彼は今この時期にもういちど商業演劇に進出した頃へ戻りたかったのかもしれない。
*劇場サイト、http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_genroku/