■マハゴニー市の興亡

■作:B・ブレヒト,演出:浅野佳成,音楽:八幡茂,出演:東京演劇集団風
■レパートリーシアターKAZE,2016.4.2-10
■ミュージカルですね。 解説を聞いているような舞台でした。 これが叙事演劇と言うのでしょうか? しかし徐々に盛り上がってきました。 歌唱も楽しかった。 ブレの少ない台詞が観客に考える余裕を持たせてくれます。
「たらふく食った後はセックス、次に賭けボクシングそして酒・・」は享楽的生活に違いありません。 今はこれにしがみつく時代でもない。 でもカネが深刻な力を持っていることは確かです。 「カネあっての色気だ!」。 終幕、主人公パウルは酒代が払えなくて死刑になるが、この力を持っている友人は彼を助けません。 もはや「ワクワクすることが何も無い」享楽の果てに行き着くと他人の統制そして死を望むのは人の性ですか。
親しみの薄い人間関係が演じられる醒めた舞台が続きます。 逆に1929年のブレヒトの伝えたいエキスが観客に届いてくる芝居でした。
役者がプラカードや垂れ幕を持って示威行進をする場面が何度かありました。 歌唱や科白に十分な説得力があったのにもかかわらず書き言葉を読むのはリズムが狂います。 ここは文字ではなくて歌で押し通すべきでしょう。
*劇団サイト、http://www.kaze-net.org/repertory_t/rep_maha