■イェヌーファ

■作曲:L・ヤナーチェク,指揮:T・ハヌス,演出:C・ロイ,出演:M・カウネ,W・ハルトマン,J・ラーモア,G・ザンピエーリ,H・シュヴァルツ
■新国立劇場・オペラパレス,2016.2.28-3.11
■会場で配られた粗筋を一気に読んだけどこれは凄いストーリーだと知るの。 イェヌーファは恋人シュテヴァに捨てられてしまう。 既に彼の子を宿していたがイェヌーファの継母は将来を考え子供を殺してしまう。 シュテヴァの異父兄ラツァはイェヌーファと結婚にこぎ着けるが結婚当日に子供の死体が川で発見される・・。
舞台は三方と床が白板で囲まれた簡素な部屋で緊張感がキュッと迫ってくる。 ときどき背景の壁が開き収穫時の麦畑や一面の雪景色も見える。 歌手たちは一人づつ散らばって静止している姿勢が多いので存在ある孤独感も漂う。 そして芝居のような科白を歌唱で包み演奏がなぞっていくの。
イェヌーファが子供の無事を聖母マリアに祈る二幕は物語に吸い込まれていくようだった。 終幕、ラツァがすべてを許しイェヌーファも彼を受け入れる開放感は素晴らしい。 しかも人生や結婚のことを深く考えさせられる作品に出来上がっていたわ。
今回はベルリン公演時のスタッフ、キャストで上演したようだけど観客にとっては最高の贈り物になったわね。 満席とは言えなかったけどカーテンコールでの観客の拍手は本物よ。
*NNTTオペラ2015シーズン作品
*作品サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/opera/jenufa/