■劇的舞踊「カルメン」再演

■演出・振付:金森穣,出演:NOISM,奥野晃士
■神奈川芸術劇場,2016.2.19-21
■「劇的舞踊」の劇的とは演劇的な意味かしら? 言葉の細部まで身体で表現しようとする振付なの。 パフォーマンスに近い無言劇にも受け取れる。 語り手の学者は物語へと誘う案内人ね。 そしてカルメンと周囲の人々が少しずつ見えてくる。 振付が寄り集まり物語を形成し時間軸に堆積していく。 その時間軸と舞踊の空間軸が交差するところに劇的舞踊が現れるのかもしれない。 カルメンの周りに死んでしまった人々が登場する終幕はその交差路の一つだわ。 
衣装や小道具はスペインだけどダンスはそのようには見えない。 日本の土着文化の荒々しさを感じさせる振付だから、特にカルメンは。 黒マントの老婆の登場数が多くて混乱してしまった。 もう一人の案内人ね。 でも占カードの細かい仕草は頭で考えてしまい身体的に冷めてしまう。 カルメンのホセのスペインの哀愁を物語に閉じ込めたような舞台だった。 劇的舞踊とは何かを考えさせられた作品だわ。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/CARMEN2016