■黒蜥蜴

■原作:江戸川乱歩,作:三島由紀夫,演出:宮城聰,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2016.1.14-2.10
■科白がしっかりと耳に入ってきます。 石垣を築くように堆積していくのがわかる。 形ある科白とでも言うのでしょうか。 役者が噛みしめて棒読みするような喋り方にも関係があるのかもしれない。 でも休憩時間トイレへ行きながら心配してしまった。 前半は物語が煮詰まってこなかったからです。 怪盗と探偵の化かし合いも古過ぎます。 しかし後半はこのギコチナサのリズムが映えてきた。 江戸川乱歩と三島由紀夫の面白さが舞台に浮上してきたからです。 乱歩のグロテスクと三島の様式美が科白の上で融合反応し出した。 黒蜥蜴と明智小五郎、早苗と雨宮の愛の行く末に緊張しました。 ほんものの宝石は眠るのです。 取り巻きの美術や照明などが少し淡泊に感じましたが。 ともかく静岡はタダでは帰してくれない。 遠出のし甲斐があります。
舞台は前方に楽団席があり両端に急階段がある工事現場のような構成になっています。 実は宝石の受渡場面で直感したのですが、これは近くから見上げた時の東京タワーの姿では? 急階段がタワーの足に当たるのです。
そして本日が一般客の初日だった。 チラシをみたらなんと中高生招待公演ばかりです。 音楽そして映画から入り芝居はその後になって見始めるのが順序なのに、中高生時代からこんなにも芝居に接しる機会があるとは幸せです。  
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/70606