■カルメン

指揮:P・ジョルダン,演出:Y・ボーネン,出演:A・C・アントナッチ,N・シューコフ,パリ・オペラ
みゆき座,2013.4.12-25
古いフランス映画を観ているようだわ。 黄土色の軍服や雰囲気はもはやアフリカ戦線だし、貨物車両の酒場も同じ時代ね。 そしてこんなにも多くの子供たちが登場するなんて! でもこれらのイメージは原作に近いかもしれない。
カルメンの声は弱々しい感じがした。 動きも良くない。 パワーが無いのよ。 肺活量も大きくしなきゃ。 ドン・ホセはオペラの匂いがまったくしない。 演出家が写実的にしたいと言ってたけどドン・ホセは近所のオジサンのようで状況にピッタリね。 でも二人の愛は最初からすれ違っていたようにみえる。 オペラ・コミックなのにセリフに深みが無かったのも一因かな。
四幕は大道芸人も登場して面白かったわ。 古びた教会や工場の背景もリアルさがあってカルメンの死に似合っていた。 終幕でオペラ座の面目を保ったという感じね。 去年観たMETのカルメンと比較するとオペラ座には何かホッとするものがある。 METはテクニカルの塊だからね。