■アンナ・ボレーナ

■作曲:G・ドニゼッティ,指揮:M・アルミリアート,演出:D・マクヴィカー,出演:A・ネトレプコ,E・グバノヴァ,I・アブドラザコフ
東劇,2012.8.25-9.28(MET2011.10.15収録)
真実は別としても誠実な歴史の舞台だった。 まるでシェイクスピアの役者が出てきそう。 ティラマーニはホルバインを参考にしたと言ってたけど衣装も素敵だったわ。
でもこの誠実さをネトレプコが壊してしまった。 アンナ役のネトレプコは歴史の匂いを感じさせないからよ。 彼女は別世界から16世紀英国に来たみたい。 体格もオペラ的というよりロシア的になってきたし。
ところでこの作品は政治的な話が一切でてこないところが凄い。 舞台だけをみているとヘンリー八世とアンは表面的な愛憎だけの関係なの。 だからドニゼッティの名声を確立した作品だと言われている理由がわからないわ。
19世紀初頭のヨーロッパは300年前のイギリスに興味があったのかしら? どの時代も愛と憎しみについてはわかるけど、この作品を観た当時の人の心の奥にはもう一つ別に感じるものがあったはずよ。
*METライブビューイング2011作品