■三月の5日間

■演出:岡田利規,出演:チェルフィッチュ
■神奈川劇術劇場・中劇場,2011.12.16-23
■7年前の作品ですが、舞台に無駄がなく何もない空間から爽やかに湧き出てきたような素晴らしい作品です。
見知らぬ相手とのセックスや反戦デモへの参加、ラブホテルでの泊まり、繁華街やライブでの屯など、これらは容易に日常に転化しますが非日常の一歩手前で止まっている緊張感があります。
同時に役者は観客の位置にいる眼差しをして、行動を他人に語らせ対話を時々混ぜる変わったセリフで舞台を異化していきます。 とても新しさのある舞台です。 しかし何故新しいのか説明し難い舞台です。
反戦デモの場面は全体からみて劣化しています。 観客への視線やセリフが全体から外れている役者もいます。 このダメな部分が逆に舞台の持っている新しさを炙り出しています。 多くの微妙な関係が安定しないと成り立たないような舞台のようです。
近年は雑多で太り気味な作品が多くてこの良さが弱められているのが残念でなりません。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/chel35