■苦悩

■作:マルグリット・デュラス,演出:パトリス・シェロー,出演:ドミニク・ブラン
■両国・シアターカイ,2011.2.21-22
■以前観たデュラスの「インディア・ソング」「愛人」が素的だったことを思い出して両国へ急いだの。 強制収容所の夫ロベールを待つデュラスの日記の芝居化よ。 オルセー駅、今の美術館?、へ毎日通って収容所からの帰還者を確認するデュラス。
そこは帰還者ばかりか捕虜や兵隊がいっぱいの喧騒な世界。 アフリカ戦線、ド・ゴールとド・ゴール派批判、ルーズベルト、ベルリン陥落、収容所解放、赤痢、チフス検査と話しが続いていくの。 結局はドイツも同じヨーロッパだと認識し直すデュラス。
そして驚くべき夫の帰還。 しかし姿は無残にも体重が38kg。 41度の高熱と緑色の泡のような大便。 なんとか持ちこたえて、夫の台詞「おなかがすいた」で幕が閉じる芝居。
途中アンリ・コルピの「かくも長き不在」を思い出してしまったの。 劇的だった映画と違ってこの芝居は淡々としているわ。 だから想像力が必要なのよ、1945年の帰還者を待つ芝居を今観るにはね。
*劇場サイト、http://www.theaterx.jp/11/110221-110222t.php