■曾根崎心中

■原作:近松門左衛門,演出:レオニード・アニシモフ,劇団:東京ノーヴイ・レパートリ-シアタ-
■東京ノーヴィ・レパートリ-シアタ-,2015.2.25-3.1
■ひょっとしたら役者はスーツ姿で登場するのでは? ・・時代や衣装は原作どおりだったのでちょっと残念。 この劇場は席が二列しかなくて横長である。 客席が舞台に張り付いているかのようだ。 この構造を役者も観客もとても意識する。 声の高低で距離の遠近を出したり舞台幅や照明で奥行や深みを表したりする。
くだけた近松門左衛門が登場して進行係を務める。 徳兵衛とお初が心中に向かって一直線に進んでいく。 脇の話は端折ったり人形劇で演じてしまう。 浄瑠璃を意識しているわけでもない。 心中ものはスピード感が大事なのだ。 これと違って大阪弁?の対話は風情があっていい。 時間がゆっくり進む。
この違った二つの時間が計算されていて心地よいリズムが舞台に現れる。 終幕の露天神も照明だけで感動に迫っている。 九平治とのやりとりに論理的矛盾があり感情を抜きにした抽象的表現の為か、二人に死ぬ理由が見えて来ないのは致し方ないのか?
舞台と客席だけではなく役者とも張り付いた空間は物語現場に一寸行ってきた感覚が残る。
*第25回下北沢演劇祭参加作品
*劇団、http://tokyo-novyi.muse.weblife.me/japanese/pg554.html