■虚像の礎

作・演出:中津留章仁,出演:トラッシュマスターズ
座・高円寺,2014.3.6-16
主人公である劇作家が人々の心の扉を開き政治などの争いを解決しくストーリーである。
彼はもう一歩踏み込み深く考えることでお互いの心に共感を芽生えさせようとする。 その共感は名付けえぬものとして人々に信頼と希望を与える。
しかも劇作家が演劇に表れるある種の感動を論じているようにもみえる。 これはメタ演劇と言ってもよいかもしれない。
この二つが混ざり合い深みのある舞台が現れている。 但し前者は兄弟や恋人の周りに貧困・移民・テロの現実が被さり隠されてしまったが。
繁栄は肯定するが繁栄への過程がとても大事である。 これを問いたいようだ。 宗教家が一度だけ登場して混乱させたのも、終幕にテロの襲撃が音楽に聞こえないか?という矛盾に満ちた台詞もこの問の答えが未決だからだろう。
舞台はダイニング・リビング・応接室のある二階建ての部屋構成で物語にもしっかり対応している。 舞台中央からの役者の入退場もリズミカルにみえる。 充実の二時間半であった。