■花子について、能「葵上」狂言「花子」三島由紀夫「班女」より

演出:倉持裕,出演:片桐はいり,西田尚美,近藤公園ほか
■シアタートラム,2014.2.5-16
生霊ダンスの「葵上」はオドロオドロしていません。 ダンサーが巧すぎるからです。 生霊の取り付くしまがなかったのでしょう。 布や衣装と風の効果は上手い。 そして黒光りのタイルのような床は現代の寂しさが表れていました。
「花子」は狂言DNAが進化して現代社会に溶け込んだようにみえます。 背景の零細企業や溶接工は画期的です。 溶接場面をここまで描くとは前代未聞です。 社員や家族の生活も結構リアルに感じました。
「班女」の待つ女と待たない女の違いは愛の存在有無だと言っています。 しかし愛より待つことが目的化するのは情報社会の必然でしょう。 現代は待って待ちながら人は死を迎えるのです。 片桐はいりの硬さのある女の無念が2作品を豊かにしていました
個々の作品が繋がっているというより、男女のもつれが一つ一つ地層のように積み重なっていくような舞台でした。 ところで斜めの大きな壁はこの劇場の基本形になりそうですね。 舞台の凸型欠点がみえなくなり新鮮さがあります。
*現代能楽集Ⅶ