■レミング-世界の涯まで連れてって-

作:寺山修司,台本:松本雄吉,天野天街,演出:松本雄吉
パルコ劇場,2013.4.21-5.16
これは維新派+少年王者舘のレミングである。 寺山修司の世界は博物館の陳列ケースに閉じ込められてしまった。 寺山はもはや歴史なのか?
寺山の科白は昔からギクシャクしている。 これを異化効果が出る迄高める必要がある。 しかし舞台がサッパリし過ぎていて高まらない。 しかも規則性のある動きの為、戦後の匂いが残る異様な風景が現前できず貧弱な再現で留まっている。 このような背景では言葉と身体の融合ができない。 ましてやあの暗闇が迫ってこない。
物理学で言うとベクトルではなくスカラーで表現したような舞台である。 寺山修司の世界はベクトルで表現しないと掴み切れない。 力と方向性を併せ持たなければ現状世界を打ち破ることができない。 残念ながら世界の果てに連れて行ってもらえなかった。