■シンデレラからサド侯爵夫人へ

演出:鈴木忠志,劇団:SCOT
吉祥寺シアター,2012.12.8-24
劇中劇とは嬉しいわね。 「監督」が登場して芝居を作り上げていくのを芝居にしているの。 舞台を作ったり壊したり、音楽や照明担当そして客人まで登場するから賑やかになって楽しかったわ。 つまり集中力が必要なSCOTの芝居を、劇中劇が緩衝材として集中から分散へ働いて舞台が軽やかになったということね。 だから前半のシンデレラは重たさと軽さが見事に調和していたわ。 今までとは違って一皮むけた感じね。
後半のサド侯爵夫人では「監督」がでしゃばらなくなった。 だから客席も緊張の一色ね。 しかも2時間半は長過ぎる。 でも上手の衣装係の役者の微動がとてもよかった。 舞台が固まりすぎていたから。 音響担当や助手もこの自然な動作が背景にあればサドはもっと観易くなったはずよ。