■うれしい悲鳴

■作・演出:広田淳一,出演:ひょっとこ乱舞
■吉祥寺シアター,2012.3.3-11
■舞台には階段が三つ延びています。 全員で踊るには狭いのですが、これが制限となりセリフとダンスが空間的に緊密になり集中ある芝居が現前します。 20名強の役者が飛び回りますが整然としています。 照明もこの整然さを助長する切れ味です。
「感度」に着目してるようですがまったく気がつきませんでした。 量は少ないのですが活きのよいセリフはどれも感度十分です。 テロでエレベータに閉じ込められた新郎の身体感覚、緑帽新婦の友達訪問感情(最後は暴走!)は語りと対話の面白さです。
感度の話ではありませんが小劇場が苦手としている政治や職業観を取り込んでいるのも新鮮です。 移植用臓器での天皇と母親の違いも家族からみれば同じです。 組織とルールの関係も目的達成の為に他人の死を手段とするところが誤っています。
盛りだくさんの内容が腐敗分解せずにまとまっていくのも「全員で動く」結果にみえました。 ビールでいうと辛口で切れ味がよいアサヒスーパードライの芝居でした。
*劇団、http://amayadori.co.jp/past-stage/2012-03